■REMAP-CAP誕生の物語■REMAP-CAP とは■REMAP-COVID とは■私たちの挑戦

REMAP-CAP JAPAN紹介動画(日本語)
REMAP-CAP JAPAN紹介動画(English)

REMAP-CAP 誕生の物語

人類がかつて遭遇したことのない新たな病原体による感染症(新興感染症)はこの20年間で “30” ほど発生し、そのアウトブレイクは人類に脅威を与えています。また既に知られている古典的病原体も、多剤耐性菌にみるように装いを新たにして発生し(再興感染症)、大きな社会問題となっています。

現在、この状況が改善される見込みは残念ながらたっていません。

新興再興感染症の中で、呼吸器感染症は極めて大きな比重を占めています。2020年に問題となっている COVID-19をはじめ、2003年の重症急性呼吸器症候群 ( SARS )や2012年の中東呼吸器症候群(MERS)がこれに当てはまります。

医療の進歩に伴い、一般的な市中肺炎の治療法はある一定のレベルまで確立されました。しかし症状、症候だけで新規の呼吸器感染症を早期に認知し、それに対処するのは容易ではありません。私たちは、平時から準備をする必要があります。

REMAP-CAP とは

「REMAP-CAP」とは、A Randomized, Embedded, Multifactorial, Adaptive Platform trial for Community-Acquired Pneumoniaの略で、世界中の医療者と協力し、重症市中肺炎の最適な治療法を、早期に見出すことを目的とした大規模国際プラットフォームです。すでに北米、欧州、オセアニアなどの218拠点で、1100人以上の患者が登録されています。

世界規模のサーベイランスを平時から運営し、平時の中の異常を早期に発見し、それに対応できるように設計されています。従ってREMAP-CAPの運営は、世界の主要な救命救急医療に携わる医療者のほか、パンデミックおよび感染症の集団発生に対応できる医療者、その他にもウイルス、免疫の研究者や、統計学者などの多彩な専門家によって主導されています。

※ アダプティブRCT (Randomized Clinical Trial)とは

従来のランダム化比較試験とは異なり、試験開始後に収集されるデータに基づき、介入内容等を随時修正しながら行う試験のことです。これにより従来の試験と比べ、患者の安全性に十分配慮できることのみならず、臨床試験の結果をより早く得られ、現場にフィードバックできる可能性が高くなります。

 

REMAP-COVID とは

REMAP-CAPのサブスタディーにあたります。
COVID-19に有効な治療法を、可能な限り安全、迅速かつ効果的に見出す最適な研究です。

既存の関連知識を駆使したCOVID-19に対するREMAP研究戦略の要は、ウイルスに対する複数の治療法の安全性と有効性を迅速かつ同時に評価するためのプラットフォームです。COVID-19に対する臨床試験を通して、我々は様々なことを学ぶことができるようになります。

REMAP-CAPは、非パンデミックとパンデミックの双方の状況において重症肺炎に対する最適な治療法を見出すように設計されています。今回のCOVID-19拡大に伴いREMAP-CAPは当初の目的通り、パンデミックモード(REMAP-COVIDサブスタディー)に移行し、治験計画にCOVID-19をターゲットとした治験薬投与群を追加し、COVID-19患者様の組み込みを行います。本試験は、多施設共同、無作為化、標準療法および複数の実薬を用いた、並行群間比較臨床試験で、主要評価項目は投与後21日間における臓器不全未発症の期間で

私たちの挑戦

現在、国際多施設研究であるREMAP-CAPを日本で展開するにあたり、以下の内容を早急に進めています。

1.倫理委員会の承認
2.学会レベル(日本集中治療医学会や日本感染症学会)での取り組み推進
3.REMAP-CAP JAPAN 事務局設立

今後は、海外のREMAP-CAP本部と連携しながら
1.オンラインでのデータ入力する仕組みの確認など、参加施設を選定した上
2.患者登録に向けた体制の整備といった施設レベルでの具体的な研究活動を準備、実行していく。
3.REMAP-CAPへの参加通じて得られる感染症危機時におけるadaptive RCTを運用する事に対する質的評価を含む体系的評価、海外とのステークホルダーとのネットワークを含む同様の研究に関するスコーピングレビューも行っていく。